いいか?絶対に○○するなよ?良いな?【現象名:カリギュラ効果】
※今日の記事は絶対に見ない方が良いですよ?分かってます?見ない方が良いですよ?
・・・ごめんなさい、読んでください。どうかお願いします。
改めて今日紹介するのは、「カリギュラ効果」という現象です。
これは、禁止されるほどやってみたくなる心理状況を指した言葉です。
由来は、1980年に公開された映画「カリギュラ」がタイトルに反して中身がとんでもなくポルノグラフィな内容だったためアメリカ・ボストンで公開禁止になったことが逆に世間の話題となった事にちなむそうです。
じゃあ良く聞く「絶対に忘れない」とかいう言葉(のび太が言ってそう)は、自分はどうせすぐに忘れるという暗喩なのでしょうか。
「カリギュラ効果」は想像するだけでいくつものパターンが想像できます。
例えば、
「絶対に開いてはいけません」と言われれば開きたくなってしまうし、
「絶対に見てはいけません」と言われれば見たくなってしまうし、
「絶対に笑ってはいけません」と言われれば笑いたくなってしまうし、
「絶対に押してはいけません」と言われれば押したくなります。
「絶対に開いてはいけない」
このキーワードで連想される話は、例えば「パンドラの箱」や「浦島太郎」、「舌切り雀」ですね。
後者の二つは有名ですので、「パンドラの箱」について軽く解説します。
ギリシア神話時代、天空神ゼウスは人間に火をもたらしたプロメテウスを懲らしめるために彼の弟エピメテウスに人類最初の女性であるとされるパンドラに壺を持たせて贈りました。
このときゼウスは「この壺だけは絶対に開けるな」と言い含めたそうです。
その後2人は幸せに暮らしますが、ふと壺が気になってしまい開けてしまいます。
中から出てきたのはあらゆる負の感情。パンドラは慌てて壺を閉じますが、結局最後に1つ残ったのが「エルピス」でした。
このパンドラの手元に残った「エルピス」の解釈ですが、単純に「希望」であったり、はたまた「偽りの希望」であったり、「災厄という名の希望」であったり諸説あります。
また、なぜ「壺」が「箱」に変化しているかというとルネサンス期ロッテルダムのエラスムスが古代ギリシア語のπίθος(ピトス:壺の意)をラテン語の pyxis(ピュクシス:箱の意)に訳したからです。
ゼウスは、人間が開けることをあらかじめ知っていて(全知全能ですから)このような回りくどいことをしたんですから、中々どうして神というのは捻くれてるんでしょうね。
「絶対に見てはいけない」
これで連想される話は「鶴の恩返し」「附子」「黄泉の国の伝説」でしょうか。
それぞれ民話、狂言、日本神話とバラエティに富んでますが、今回は「附子」について軽く解説します。
「附子」とはトリカブトのことです。
ある家の主が使用人の「太郎冠者」と「次郎冠者」に附子(猛毒)の入った桶に決して近づかないよう言い残し外出します。
しかし二人は気になる様子
次 :さて汝は あの附子といふものを
次 :みたことがあるか
次 :身共はついに見たことがない
太 :身共もついに見たことがない
太 :けふは幸ひのお留守ぢゃ
太 :そと見ようと思ふが何とあらう
次 :いやここな者が あのやうな大毒を
次 :見ようなどといふことがあるものか
次 :さりながら ここに気の毒がある
太 :いづれもが やい太郎冠者
太 :そちが所に附子といふものが有るげな
太 :どのやうなものぢゃとお尋ねのとき
太 :御家にありながら 存ぜぬとは言はれまい
太 :幸ひのお留守ぢゃ そと開けてみよう
そして太郎冠者が桶に近づくと、なんと中身は附子ではなく甘く貴重な砂糖。二人は言いつけも守らず食べつくしてしまいます。
その後機転をきかし、部屋を滅茶苦茶にして罰として附子を飲んだことにしてごまかす二人は結局・・・
主 :がつきめ がつきめ
太・次 :ああご許されませご許されませ
主 :何の許せとは
主 :あの横着者
太・次 :ご許されませご許されませ
主 :やるまいぞやるまいぞ
太・次 :ご許されませご許されませ
主 :やるまいぞやるまいぞ
太・次 :ご許されませご許されませ
主 :やるまいぞやるまいぞ
というオチになります。
前半の恐る恐るながらも好奇心の塊な掛け合いと、後半の食べてからの怒涛の展開はいかにも狂言らしくて面白いですね。
「絶対に笑ってはいけない」
これは言うまでもなく年末の「ガキの使いやあらへんで」の名物企画でしょう。
個人的に松本の他人を笑わせようとして自滅する姿と、月亭方正のしょうもない様子、笑いの刺客の板尾創路、ジミー大西が好きです。
また、小梅太夫が奇跡的に面白く感じる魔法の言葉でもあります。
土曜日はは~た~んん~~っ!!
「絶対に押してはいけない」
もはや言わずもがなの名人芸。ダチョウ倶楽部上島竜兵氏のお家芸ですね。
それでは最後に宣伝を。
絶対に書店ではトイレに行かないでくださいね!