声を聞かせて
「アセ」「ユキ」に続き今日は「コエ」の話です。
つい先日の5月17日に、声優の水谷優子さんが亡くなったそうです。
死因は乳がんとのこと。年齢といい死因といいどこか何かが重なってしまいこのニュースを知ったときはとても辛い気持ちになりました。
また、水谷氏は静岡県民のバイブルアニメ「ちびまる子ちゃん」でお姉ちゃんの声を当ててらしただけに、余計に心が痛みます。
アニメ作品で、担当されていた声優さんが引退されたり亡くなった場合、別の声優さんに「引継ぎ」が行われます。
お姉ちゃん役の後任が誰になるかまだ不明ですが、通常似た声質の方が選ばれます。
最近話題になった「引継ぎ」だと、アニメ「クレヨンしんちゃん」の人気登場キャラクター「ぶりぶりざえもん」が約16年の時を経てアニメに復活を果たしました。
(すぐに裏切る打算のヒーロー。姿・行動をプラスに転じさせるくらいの声が魅力的)
担当されていた声優の塩沢兼人氏が不慮の事故で亡くなったのち、制作側の意向もあり半ば封印状態となっていたキャラクターでしたが、アニメ放送25周年を機に先週の5月13日に声付きで出演を遂げました。
名優塩沢氏から引き継いだのは、今押しも押されもせぬ人気声優の神谷浩史氏でした。
この豪華バトンタッチにファンは湧き、実際の先週の放送でも受け入れる声が多く、この大引継ぎ劇は成功に終わったと考えられます。
しかし、この交代劇がスムーズにいかない場合もあります。
未だに銭形警部やドラえもんの声にどこか違和感を覚える人ももしかするといるのではないでしょうか。
個人的にはこの交代劇は、どうしたって起こりうることなのだからファンだったら受け入れるべきであると考えます。
もちろん馴染んだ声や演技に慣れないかもしれませんが、その思い出を忘れなければいいだけで固執することは間違っていると思うんです。
ただ、中の人(声優さんのことをこう呼んだりもします)の高齢化や死去といったやむをえない事情ならともかく、制作側のゴタゴタや事務所のごり押しでこの「引継ぎ」が行われた場合は首を傾げてしまいますが。
あっ、「風魔一族の陰謀」は好きですよ。
しかし、最近気になるニュースが入りました。
自分の声、他人そっくりに 電通大が変換技術開発
2016/5/16 1:22電気通信大学の中鹿亘助教は自分の声を簡単に他人の声そっくりに変換できる技術を開発した。最新の人工知能(AI)技術を活用した。
録音などがあれば、亡くなった声優の声で新たなアニメ番組を作れるようになる。海外の映画やドラマを吹き替える際に出演している俳優の声そっくりにすることも可能だ。企業と協力し実用化を目指す。 (2016/5/16 日本経済新聞 電子版より
もしこの技術が実現されるなら、もう「引継ぎ」は行われなくなるでしょう。
もちろん嬉しい面もあります。もう一度、アニメ「名探偵ホームズ」のホームズの声(広川太一郎氏)やアニメ「機動警察パトレイバー」の内海課長の声(鈴置洋孝氏)、それにお姉ちゃんの声も聞き続けることができるんですから。
ただ、悲しい面として、アニメの可能性を狭めてしまうかもしれないと思います。すごく単純な例ならこの技術が普及したらもう二度と栗田貫一氏のような存在は世に出てこないからです。
他にも怖い面として、アニメ問わず犯罪に利用されたら恐ろしいことになると考えられます。だって、名探偵コナンでコナン君が持ってる蝶ネクタイを誰でも持てるようになるかもしれないんですから。
ずっと声を聞いていたいという気持ちは、ファンの心の表れに留めておくべきであると考えます。
そして、新しいお姉ちゃんはどんな声をしているのか楽しみに待つのが、本当のファンであると思うのです。
※記事内容を投稿時から一部変更致しました。事実と異なる内容をご覧になってお気を悪くさせてしまった事、心より深くお詫び申し上げます。